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研究代表ご挨拶

心房細動患者における心原性脳塞栓症予防には抗凝固薬が、アテローム血栓症患者の虚血イベント予防には抗血小板薬が一般に用いられます。わが国では、高齢化率の上昇に伴い、両者の合併例が増加しており、抗凝固薬、抗血小板薬が併用される機会も増加していますが、両薬剤の併用についての有効性、安全性を示すエビデンスは乏しいのが実情です。


特に両者を合併した脳梗塞例では、脳梗塞再発・頭蓋内出血のいずれも高リスクであり、二次予防における最適な抗血栓療法を明らかにする必要があります。


本研究では、このような脳梗塞例を対象として、抗凝固薬単独治療と抗凝固薬・抗血小板薬併用治療のクリニカル・ベネフィットを明らかにすることを目的として開始しました。​実臨床で役立つエビデンスを確立するために、ご協力のほどを何卒よろしくお願い申し上げます。

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研究概要

試験課題名

非弁膜症性心房細動とアテローム血栓症を合併する脳梗塞例の二次予防における最適な抗血栓療法に関する多施設共同ランダム化比較試験


研究代表者

山上 宏


試験の目的

非弁膜症性心房細動とアテローム血栓症を合併する脳梗塞例を対象として、抗凝固薬と抗血小板薬の併用療法と抗凝固薬単独療法の虚血性および出血性イベント発生に対する効果を比較検討する。


試験デザイン

多施設共同非盲検ランダム化比較試験


対象患者

非弁膜症性心房細動とアテローム血栓症を有し、脳梗塞または一過性脳虚血発作[TIA]の発症から8日以降360日以内の患者


適格基準

選択基準

以下の基準を全て満たす患者を対象とする。

  1.  脳梗塞またはTIAと診断されており、観察開始日に発症後15日以降360日以内。

  2.  同意取得時に年齢20歳以上である。

  3.  非弁膜症性心房細動を有し、経口抗凝固薬を内服中である。

  4.  以下のアテローム血栓症のうち、少なくとも1つ以上を有する。

    • 虚血性心疾患

    • 末梢動脈疾患

    • 頚動脈狭窄症

    • 頭蓋内動脈狭窄症

    • アテローム血栓性脳梗塞、ラクナ梗塞または穿通枝領域脳梗塞の既往

  5.  寝たきりではない(mRSスコア4以下)。

  6.  内服薬の経口摂取が可能である。

  7.  観察期間中の予後調査が可能と判断される。

  8.  本研究への参加について、書面による本人または代諾者の同意が得られている。


除外基準

以下のいずれかの基準に該当する患者は、対象から除外する。

  1.  過去12ヶ月以内に心筋梗塞または急性冠症候群の既往がある。

  2.  過去12ヶ月以内に薬剤溶出性冠動脈ステントまたは過去3ヵ月以内にベアメタル冠動脈ステントを留置している。

  3.  過去3ヵ月以内に、頚動脈ステント、頭蓋内ステント、下肢動脈ステントを留置している。

  4.  過去6ヵ月以内に症候性頭蓋内出血または消化管出血の既往を有する。

  5.  出血性素因または血液凝固異常を有する。

  6.  登録時の血小板数が10万/mm3未満である。

  7.  重度の貧血(Hb<7g/dL)を有する。

  8.  重篤な腎機能障害(CCr≦15mL/minまたは維持透析)を有する。

  9.  重篤な肝機能障害を有する。

  10.  寝たきりで常に介護や見守りが必要(mRSスコア5)である。

  11.  妊婦、授乳婦であるかまたは妊娠の可能性がある。

  12.  活動性悪性腫瘍を合併している。

  13.  悪性腫瘍等で予後2年未満と診断されている。

  14.  観察期間中に抗凝固薬もしくは抗血小板薬の中止を要する手技/手術の実施が予定されている。

  15.  観察期間中に虚血に対する血行再建術が予定されている。

  16.  他の介入試験に参加中である。

  17.  研究責任/分担医師の判断により、本試験への参加が不適切と考えられる。


目標登録症例数

400例(抗凝固薬・抗血小板薬併用群:200例、抗凝固薬単剤群:200例)


観察期間

2年間。登録2年後、死亡、または同意撤回のいずれか早い時点まで6か月毎に調査する。


主要評価項目

割り付け後2年間における虚血性イベント(脳梗塞、心筋梗塞、全身性塞栓症、虚血による予定外の血行再建術、心血管死の複合評価)または大出血(国際血栓止血学会分類の大出血)の複合エンドポイントの発現までの期間
 

主な副次評価項目

割り付け後2年間における全死亡までの期間
割り付け後2年間における虚血性イベント(脳梗塞、心筋梗塞、全身性塞栓症、虚血による予定外の血行再建術、心血管死の複合評価)の発現までの期間
割り付け後2年間における一過性の病態を含む全ての虚血性イベント(脳梗塞、TIA、心筋梗塞、不安定狭心症、全身性塞栓症、末梢動脈疾患における虚血症状の悪化、虚血による予定外の血行再建術、心血管死の複合評価)の発現までの期間
割り付け後2年間における脳梗塞再発までの期間
割り付け後2年間における心筋梗塞または心血管死の発現までの期間
割り付け後2年間における大出血の発現までの期間
割り付け後2年間における大出血および臨床的に問題となる出血の発現までの期間
割り付け後2年間における頭蓋内出血の発現までの期間


試験薬、用量および投与方法
抗凝固薬・抗血小板薬併用群:任意の経口抗凝固薬1剤と任意の抗血小板薬1剤の併用
抗凝固薬単剤群:任意の経口抗凝固薬1剤


予定実施期間

研究予定期間:9.5年間(2016年11月1日~2026年4月30日)

症例登録期間:5.5年間(2016年11月1日~2022年4月30日)

臨床試験登録

jRCT臨床研究実施計画番号:jRCTs051180202

UMIN-ID: UMIN000025392

ClinicalTrials.gov Identifier: NCT03062319

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研究組織

研究責任者

山上 宏     国立病院機構大阪医療センター 脳卒中内科

副研究責任者
岡崎 周平  大阪大学医学部附属病院 脳卒中センター

 

研究運営委員会
委員   岡崎 周平   大阪大学医学部附属病院 脳卒中センター
委員   長束 一行   市立豊中病院 神経内科
委員   野口 暉夫   国立循環器病研究センター 心臓血管部門
委員   山本 晴子   国立循環器病研究センター 臨床試験推進センター
委員   古賀 正利   国立循環器病研究センター 脳血管内科
委員   坂井 信幸   神戸市立医療センター中央市民病院 脳神経外科
委員   岡田 靖    国立病院機構九州医療センター 脳血管・神経内科
委員   平野 照之   杏林大学医学部 脳卒中医学教室
委員   坂口 学      大阪急性期・総合医療センター 脳神経内科
委員   井口 保之   東京慈恵会医科大学 内科学講座神経内科
委員   豊田 一則   国立循環器病研究センター 副院長

 

​独立データモニタリング委員会

委員長  北川 一夫  東京女子医科大学神経内科
委員   杉本 知之  鹿児島大学 理学部 数理情報科学専攻
委員   長束 一行  市立豊中病院 神経内科

 

​イベント評価委員会

委員長  平野 照之  杏林大学医学部 脳卒中医学教室
副委員長 井口 保之  東京慈恵会医科大学 内科学講座神経内科
委員   藤本 茂   自治医科大学 内科学講座神経内科学部門

 

統計解析責任者

大前 勝弘  国立循環器病研究センター データサイエンス部臨床統計室

 

モニタリング責任者

​山本 晴子  国立循環器病研究センター データサイエンス部​​

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研究資金および利益相反

COI開示

本研究はブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社およびファイザー株式会社(BMS)が出資する血栓症領域における医師主導研究プログラム(JRISTA ジェリスタ)より契約の形態で資金提供を受けています。BMSは臨床的なエビデンス構築のために資金を拠出するものであり、本研究の企画・立案、運営、発生するデータおよび結果の解析と解釈に関与することはありません。

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